歩く

 歩いている。砂漠を草原を海を歩いている。夜を昼を歩いてる。果てしなく歩いてる。どこに行き着くのか、なぜ歩いているのか。歩くために歩くのか。

 風が吹いている。風はささやかな道連れだ。

 風のような身軽さはなく、地に縛られた私はただ一歩一歩足を動かすしかない。私はどこにでも行けるのだろうか。どこにも行けないのかもしれない。どこに行き着くのだろうか。虚無、そう虚無だ。最後は虚無だ。虚無に行き着く旅は虚無だ。

 でも、それでも、そうだとしても、私は綺麗な景色や物語に出会いたい。